• 歴史学はあらゆる学問を横断し、それを統合する壮大な知の体系

担当教科について

歴史学はあらゆる学問を横断し、それを統合する壮大な知の体系

社会(世界史) / 岡部 睦史

Q1 担当教科に興味を持ったきっかけを教えてください。

大学時代の夏休みに、故郷の古本屋で何気なく一冊の本を手に取りました。それは、フランスの哲学者ミシェル・フーコーの著作でした。読みすすめていくうちに、自分の価値観やものの見方が変わるような気がしました。面白かったのは、哲学者であるフーコーが、自分の思想を語るのに、表面上は歴史研究のかたちをとっていたことです。フーコーは、いま日本に生きる私とは縁もゆかりもないヨーロッパの遠い過去の歴史を語ります。でも不思議なことに、それが私の「いまを眺める」その仕方に作用してくるのです。フーコーは、見慣れてしまい、なんとなく無意識に受け入れてしまっている世界のあり様を、歴史を語ることを通じて、別のかたちでも世界を捉えることができると気づかせてくれました。

この読者体験は、私にとって大きな転換でした。何か歴史学という学問がもつ大きな可能性を感じたのです。当時の私は、学問への興味が完全に絞りきれず、とりあえず興味のあったアイルランド中世史を研究しようかなと軽い気持ちで西洋史に所属していました。しかし、この読書体験が歴史学の奥深さに気づくきっかけを与えてくれましたし、さらに大学院で研究を深めようと考えるようなきっかけにもなりました。

Q2 担当教科の魅力を教えてください。

歴史学の醍醐味は何と言っても、さまざまな学問の研究成果を統合して、立体的に物事を捉えていくところにあります。さまざまな学問の研究成果が集まる大きなステージこそが「歴史学」という学問なのです。

歴史学は過去に起こったすべての出来事をその研究対象とします。だから、対象とする時代や地域の政治や経済の出来事はもちろんのこと、どんなファッションが流行したとか、どんな本がベストセラーになっていたのか、どんな食べ物が食卓に出されていたのか、どんな天候だったのかなど、あらゆることが歴史学の対象となります。

このように書くと、歴史学はたくさんの分野の細かな知識を集めるだけの学問にも見えてしまいます。また、例えば政治や経済のあり様は、政治学や経済学といった別の学問が研究するのではと思う人もいるでしょう。でもそうではないのです。歴史学は、ある時代の社会全体のあり様を洞察したいのです。そのときには、社会で起きている政治も経済も文学もすべて見渡す必要があるのです。だからこそ、歴史学はさまざまな学問分野の研究成果を取り込みます。そして、そうして取り込んだ学問分野の研究成果の1つ1つの事柄を、いわば点と点を結ぶようにして、線に結合していくのです。そうすることで、文学、政治学、経済学といった1つ1つの学問分野の視点だけでは見えなかった、その時代の全体像が見えてくるようになるのです。そこに歴史学の醍醐味があります。まさに歴史学はあらゆる学問を横断し、それを統合するような壮大な知の体系なのです。

岡部 睦史

社会(世界史) / 岡部 睦史