• 点と点が線でつながる時が勉強していて一番面白い

学生時代について

点と点が線でつながる時が勉強していて一番面白い

英語科 / 岡崎 行則先生

-Q1 先生は中学生・高校生時代どんな生徒でしたか?

中学高校と東京下町の公立学校に通っていました。今から思うとのんびりした雰囲気の中で育っていたと思います。当時の中学生はもちろんネットも携帯もありませんでしたが、それなりに自分達で楽しみを見つけていました。多くの男子生徒はラジオの深夜放送に興味を持ちよく聞いてましたね。今では作家として有名な落合恵子さんがまだ文化放送のアナウンサーでいたころ「セイヤング」という番組をやっていたのですが、何と声の美しい方だろうと思いながら聞いていました。今こんな名前を出しても生徒諸君には分かってもらえないと思いますが、当時Bay City Rollersというグループの “Saturday Night”という曲が放送でよく流されていて、S-A-T-U-R-D-A-Yと一文字ずつ連呼する箇所があるんですが、お陰で土曜日のスペリングだけは一生忘れない自信がつきました。高校時代は好きな教科しか勉強していませんでしたね。本校に勤め始めて、放課後や長期休み中の講習があるのを目の当たりにして何と面倒見の良い学校なんだろうと思いました。というのも私が通っていた高校では全くそのようなシステムは存在せず、勉強したければ自分でせよという感じでした。今の海城生はどの教科も万遍なくできるオールラウンダーであることが期待されるので大変だと思います。私の高校ではそういう雰囲気ではなかったので、あまり好きでない教科は何とかクリアできる程度にやり、好きな英語は結構突っ込んでやっていました。深夜放送は卒業して次の興味はFENに移りました。今ではAFNという名称になっていますが、ラジオのNHK第2とTBSの間にある放送局で何やらいつも英語が聞こえ洋楽とスポーツ中継らしきものが流れてくる放送局です。これは駐留米軍のための放送局なのですが、当時は何も知らず一体何を流しているのかという興味本位だけで聞いてました。アメフト中継は何を言っているのか全く分からずすぐ消してしまいましたが、今は亡きWolfman JackというDJの独特のダミ声を知ったのはあの頃でした。

-Q2 中学生・高校生時代の今につながる思い出

上で書いたことと重なりますが、高校時代に授業以外でやっていたことが今の自分の土台を作っているように思います。FENで言えば相撲シーズンには土日だけ相撲中継があり、英語だけで取り組みを聞くという体験を初めてしました。画面がありませんのでもちろん何を言っているか全く聞き取れませんでしたが、今からすれば自分が背伸びして何かをやろうとしていた時期なんだろうと思っています。高校時代にもう一つはまっていたのがSesame Streetという幼児番組です。Big BirdやCookie Monsterでお馴染みの番組ですが、単なる子供向けと侮ることなかれ。私にとっては偉大なる英語の先生とも言うべき存在で、英語の音感に関してはこの番組から得た恩恵は計り知れないものがあります。この番組にはたまに一流の歌手もワンポイントで出演することがあり、若かりし頃のStevie Wonderも出てました。Paul Simonの子犬のビンゴの歌も印象的でした。Judy Collinsという女性歌手の歌声がとても美しく気になっておりました。それが今となって授業で彼女の歌った “Amazing Grace”を生徒諸君に聞いてもらうきっかけになっています。高2から世界史の勉強もするようになってアメリカの公民権運動やベトナム戦争のことを知り、それが反戦歌を生むことにもつながったことがおぼろげながら見えた時、私にとってこれまで全く別個の存在であった英語、歴史、音楽というものが線でつながったような気がして自分の世界が広がった感覚を味わいました。自分の教えている生徒諸君には点と点が線でつながる時が勉強していて一番面白い瞬間であることをよく話すのですが、ぜひ多くの方にこの体験をしていただきたいと願っています。

岡崎 行則先生

英語科 / 岡崎 行則先生