• 中学総合講座「生きること 働くこと 考えること—ゲストを交えて拓き合う 」 最終回

中学総合講座「生きること 働くこと 考えること—ゲストを交えて拓き合う 」 最終回

2017.03.21

  • 講習

総合講座の最終回となる第五回目は、「構造設計建築士として生きるー建築のデザインと安全な建物にすること」というテーマで、構造設計一級建築士の坂田涼太郎さんをお迎えしてお話を伺いました。

IMG_5512

坂田さんは、本校のご出身で、2012年に、金箱構造設計事務所から独立され、ご自分の事務所を設立し、現在は早稲田大学創造理工学部建築学科で非常勤講師もされています。

IMG_5514

坂田さんはまず、「建築士」と「建築家」の違いについて、「建築士」とは、注文者によって求められた用途に合わせて、安全で、使いやすい建物を設計する、決められたルール(法律)で作る職業であり、「建築家」とは、今までにない建物のあり方を提示でき、豊かな空間、よりよい世界の方向性を作ることができる人のことだとお話しされました。

「建築士=建築家」だと認識していた生徒たちは、この最初の定義から早くも驚いた様子でした。このことについて、坂田さんは、「弁護士であっても、自分を法律家だと自信を持って断言できる人は少ないのではないか」とも説明されました。

その後、プロジェクター使って、様々な個性的な建造物や、昨年大きな話題となった国立競技場のザハ氏の案、豊洲新市場問題などについても映像でお見せいただき、「構造デザイン」について、「人間の根源的な本性とは、様々な問題を解決していく思考方法を模索していくことで、構造デザインはそれを体現していくことだ」とお話しされました。そして、構造設計者に求められるものは、「人命を第一に、建物の安全を確保すること、技術力を身につけること、先を見通して考えること、嘘をつかないこと」だとまとめられました。

IMG_5516

「人命を守る」「嘘をつかない」ということについて、耐震構造の観点から、海城の校舎の免震構造についても詳しくご説明いただきましたが、普段学んでいる校舎が実は学術的にも非常に価値の高いものであり、有名な建築家も海城の校舎に注目していたということを初めて知った生徒はたいへん興味を引かれた様子でした。

IMG_5518

以下に授業を受けた生徒の感想を引用します。

「構造設計者は嘘をつかないことがとても大事だと知り、最近自分が興味を持っているジャーナリストの仕事に似ていると思った。ジャーナリズムとは一つの嘘が一瞬で世界中の人々に伝わるものなので、ジャーナリストは真実を伝える責任がある。メディアの力が強い現代では、一つの嘘の力がとても強いのだと思う。」

「坂田さんは建築方法が普通の、直方体などの建物が人の心を豊かにするかどうかという疑問が生じるとおっしゃっていたが、自分はそんな考え方をしたことはなかった。国立競技場の案のように、建築家としては、頑張っていたものが撤回されてしまうと、非常に残念だという話が印象深かった。」

最後になりましたが、大変ご多忙な中、生徒たちのためにお話しくださった坂田さんに厚く御礼申し上げます。本当にありがとうございました。