• 中学総合講座「生きること 働くこと 考えること―職人の世界から」第1回

中学総合講座「生きること 働くこと 考えること―職人の世界から」第1回

2018.02.10

  • 講習

 今年度3学期の<中学総合講座(国・英・社の教員で担当)>は、「生きること 働くこと 考えること―職人の世界から」と題して、蕎麦、鮨、和楽器の職人として、その技術力とプライドをもって活躍されているゲストの方々を学校外からお招きし、ご自分の仕事の内容や問題意識、修業時代のことや何を大切に生きてきたかなどの「ライフ・ヒストリー」についてお話していただいた後で、生徒達とディスカッションを行う予定です。生徒それぞれがそのテーマの中で描かれる問題を分析する視点を鍛え、あわせて自分の将来に対する問題意識を深められるような場に、少しでもなればと考えています。

 第1回目は本講座の<イントロダクション>として、本校の教員2名が、なぜ教員になったのか、教育という仕事の面白さやその醍醐味、つらかったことや大切にしてきたこと、また、もし教員を「職人」としてとらえたならば、その「職人像」をどのように考えるかという点について、率直に語りました。あまり教員からそのような話を聞く機会がないこともあって、生徒たちは各教員の話に真剣に耳を傾けていました。以下は生徒の感想です。

「普段は、教える側と教えられる側で分かれているので、このような講座で教員がどのようなことを考えているのかを知る機会が設けられたことを新鮮に感じた。通常の授業の枠に収まらない内容をテーマに設定して考え合う講座だと理解した。不遜な言い方だが、特に、教師も生徒の私たちと同じように悩み、葛藤しているのだと知り、自分の考え方に厚みがついたような気がした」(中3)

「職業を選ぶ際には、1つの大きな出来事が自分の経験の中になければならないと思っていましたが、先生の話を聞いて、これまでのいくつもの小さな経験が積もり積もって職業を選ぶきっかけになることもあるのかと驚き、少し肩の荷が下りました。また、ドイツで一定年数を職人として修行した人が、『ジャーニー・マン(旅人)』として、各地を渡り歩き、そこで自分がこれまで習得した技術を提供しながらお金を稼いでいく制度も印象に残りました。食べていくには、各地の人から求められれば、必要に迫られてその技術以外の技術を得ていかざるを得ない仕組みには考えさせられました。ある仕事のみに特化した専門家を多く生み出し、その人々の技術だけを良としてほめちぎるような日本の社会システムに疑問をもつ良い機会になりました」(中2)

「今回の講座で聞いたjourney man(放浪者)は、人間は自分だけで選んだ以外に手を広げることはあまりなく、外からの刺激があることで広げられるのだと感じました。何でこの教科をやるんだろう、何の役に立つんだろうと、つい思いがちですが、自分が好きでないものや自分では決して選ばないようなものにも目を向けさせてくれるために、すぐに役に立たないことを幅広くやれることが学校の良さだと改めて思いました。また、『学生はapprentice(見習い)だ」という言葉も聞きましたが、これからいろいろな体験をすることで大きく成長できる意味として理解できました。学生は、「見習い」であり「放浪者」であるという2つの側面をもっていると思います」(中1)