理科 地学部 日本水文科学会会長から祝辞

2015.09.25

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報告が遅くなりましたが,2015年5月25日の海城PRESSにもアップした,JpGU(地球惑星科学連合)2015年大会での最優秀賞受賞を受けて,いつも研究発表の場をいただいている日本水文科学会より会長の祝辞をいただきました.水文科学会には,いつも有益なご助言と励ましといただいています.今後も研究と連携を継続させていきたいと思います.

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海城中学高等学校地学部の快挙を祝して
日本水文科学会会長 鈴木啓助

日本地球惑星科学連合2015年大会 高校生セッション最優秀賞
「新宿区立おとめ山公園周辺の地下水の変動把握および涵養域の推定」
海城中学高等学校 清水彬光・法兼佑泰・越田勇気・中村太亮

日本地球惑星科学連合2015年大会期間中の5月24日に開催された「高校生によるポスター発表」セッションで、海城中学高等学校地学部による「新宿区立おとめ山公園周辺の地下水の変動把握および涵養域の推定」が、全国43校78件の発表の中から最優秀賞を受賞しました。この発表の著者は、清水彬光君(高2)・法兼佑泰君(高2)・越田勇気君(高1)・中村太亮君(高1)の4名ですが、卒業生の高野雄紀君(現東京大学理学部4年)や瀧下恒星君(現京都大学理学部2年)、高3の片山健太郎君をはじめとした地学部の先輩方の長期間の観測における功績も忘れることが出来ません。なお、高野雄紀君は、日本地球惑星科学連合2014年大会における「新宿区おとめ山公園湧水の地下水位−流量モデルと地下水位の大気圧応答」と題する発表で、学生優秀賞を受賞しています。
海城中学高等学校地学部は、日本水文科学会の学術大会で実施している一般公開企画「身近な水環境」に毎年参加し、新宿区立おとめ山公園周辺の地下水に関するポスター発表を行っています。このように、本学会の学術大会の常連校が、7年に渡る地下水の長期観測データに基づく水文科学研究の成果を発表して全国1位を獲得したことは、大変喜ばしく思います。
日本水文科学会では、次世代育成と社会との連携を目的に2011年度大会より一般公開企画「身近な水環境」を開催しています。また、一般公開企画で発表した参加者がより専門的な水文科学の研究に触れられるよう、同日に公開シンポジウムを実施しています。高校生や市民活動団体の方々に日頃の活動の成果をポスター発表していただき、研究者との意見交換などをつうじて専門性を深化させる場として活用されています。
今回受賞された海城中学高等学校地学部の顧問である上村剛史教諭は本学会の会員であり、集会委員として前述の一般公開企画の立案・運営に精力的に取り組まれています。また、受賞された発表者代表の清水彬光君は、中学時代より地学部に入部し2012年度の日本水文科学会学術大会より毎年発表者に名前を連ね、2014年度大会ではグループの代表者として発表を行っています。
今回の受賞は、上村会員のご指導と卒業生も含めた海城中学高等学校地学部のみなさんの努力の賜物であると同時に、本学会におけるポスター発表の経験や、学会員からのアドバイスを取り入れた研究の深化が、地球惑星科学分野の研究者などに広く評価された結果であると思います。多くの若い世代の方々に水文科学の魅力を伝えられたことは、本学会にとって大変有意義であります。誠におめでとうございます。
今後とも、日本水文科学会の学術大会において一般公開企画「身近な水環境」を継続して開催いたしますので、学会員の皆様は引き続き温かいご支援とご指導をお願いいたします。

以下,HPでもご覧いただけます.
http://www.suimon.sakura.ne.jp/2015/06/new-6.html