地学部 長瀞巡検

2016.01.06

  • 地学部
  • 理科

1月5日、地学部の希望者で埼玉県秩父郡の長瀞を訪れました。秩父は平成23年に日本ジオパークに認定されています。その中でも、地下深くの高圧下で形成された結晶片岩という変成岩で有名な長瀞は、その中核的な役割を果たしているといえるでしょう。東京帝国大学の初代地質学教室教授のナウマン博士が1878年に訪れて以来、多くの研究者が同地で研究を行っていることから「日本地質学発祥の地」とも呼ばれています。変成岩の他にも、断層や褶曲、川底のくぼみに入り込んだレキが回転しながら穴をつくったポットホール(甌穴)や、河原のレキが川の流れの方向に沿って一定方向に配列したインブリケーションなど見どころはとても多く、暖かい穏やかな陽気に恵まれた新年最初の巡検は、改めて自然の素晴らしさを感じさせるものとなりました。
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紅簾石片岩でできた巨大なポットホールです。中にはいつも雨水がたまっていますが、この日は珍しく底まで見えていました。


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薄くはがれやすい結晶片岩が荒川の流れに侵食されてできた岩畳です。
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少しわかりにくいですが、右側の紅簾石片岩と左側の緑泥片岩が断層で接しています。
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蛇の皮膚のような濃い緑色の光沢があることから「蛇紋岩」といわれる岩石が露出しています。
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蛇紋岩自体が、地球のマントルを形成するかんらん岩が水と反応してできたものであり、蛇紋岩がさらに風化されると石綿(アスベスト)の一種になります。
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途中で笠雲が見えました。
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赤鉄石英片岩でできた「日本地質学発祥の地」の碑です。