競技かるた部活動報告〜その65〜 さが総文

2019.08.02

  • 2014年度入学
  • かるた部

7月30日から8月1日までの三日間、佐賀県総合体育館(佐賀市)において、『第43回全国高等学校総合文化祭2019さが総文』「小倉百人一首かるた部門」が開催されました。

総文は「文化部のインターハイ」とも呼ばれる大会で、さまざまな文化部が開催県に集結し、部門ごとに試合、発表、展示等を行います。「かるた部門」は各都道府県から1チーム(8名)ずつが出場し、各地区代表47チームで団体戦を行い(1試合に出場するのは5名)、優勝を争います。

東京都は5月5日に代表選考会を行っており(※報告その62参照)、多数の有力選手を相手に本校競技かるた部の林峻平(高3)が勝ち抜き、副将としての参加を決めています。

今大会は、初めて47都道府県がすべて出揃った大会だそうで、かるたの競技人口がいまもなお増加傾向にあること、それに伴って各チームのレベルが一層上がっているであろうことがわかります。

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[大会運営も高校生を中心に行います。写真右側の読手の使う箱(陶器)は、県内の高校生の卒業制作だそうです。有田焼・伊万里焼で有名な佐賀県ならではの細部へのこだわりが見られます。]

 

初日は、開会式、生徒交流会に続いて、予選リーグの組み合わせ抽選会が行われました。東京都チームは、栃木県、山形県、群馬県と同一の組になりました。どの県も力のあるチームですが、このリーグを一位で通過して、決勝トーナメントに進出できるのでしょうか。

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二日目は予選リーグ及び決勝トーナメント進出戦の4試合が行われました。

東京都の初戦の相手は栃木県。この試合は東京都が5戦全勝となり、選手たちの力を見せつけられました。

二回戦の相手は山形県。この試合は林くんも出場しました。こちらも東京都チームは5戦全勝、しかもすべて束勝ち(10枚以上差をつけての勝利)です。林くんは落ち着いた試合運びで、相手に11枚の差をつけての勝利。副将として仕事を果たしてくれました。

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三回戦の相手は、群馬県。選手権A級準優勝の選手を筆頭に、実力者を数多く擁する強豪県です。この試合も林くんは出場し、見事7枚差で勝利。やはり落ち着いた試合運びで、拮抗した状況でも相手にペースは渡さず、終盤で一気に攻め込みました。一本一本をきっちり勝つことで、チームのムードを良い方に向けることに貢献してくれています。この結果、チーム全体も4-1で予選リーグ1位通過を決めました。

決勝トーナメント進出戦は、こちらも強豪福島県との一戦となりました。林くんはこの試合にも出場し、三試合連続という体力的にも負荷が掛かる中、見事勝利。個人の成績としては、本日三戦全勝です。チームも4-1で勝利し、翌日の決勝トーナメントに進出することが決まりました。

決勝トーナメントの組み合わせ抽選をした後、宿に帰りました。ミーティングでは指導の先生からお話があり、メンバーそれぞれが一日の反省点を挙げ、次の日のポイントを確認し合いました。

 

翌日はいよいよ決勝トーナメントです。決勝トーナメントには8チームが残っています。うち5校が関東勢。東京都チームの山は、初戦の千葉、次戦の神奈川―群馬と、4校全てが関東のチームです。

まずは、準々決勝の千葉戦。強敵相手にこの試合を5-0で勝ち上がった東京都チーム。しかし、次戦の相手は予選2位通過から勝ち進み、強豪神奈川を激闘の末に破った群馬県。非常にレベルの高い群馬県チームとの再戦は、厳しい展開が予想されました。

準決勝の群馬戦。林君も出場です。この試合も、東京都チームにとってはかなり苦しい展開となりました。5本中3本が運命戦(自陣・相手陣ともに最後の1枚になった試合)となり、最後の一枚で勝敗が決しました。結果は東京都チームが4-1で決勝進出です。林くんは、4枚差の勝ちで一足先に勝ち数を増やすことで、チーム全体の流れを良い方に向けてくれました。

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さて、いよいよ決勝戦です。相手は福岡県。福岡県は、前年の総文で準優勝の他、本年の選手権団体戦ベスト4に2校を残し、かつA級個人戦二連覇の選手や同大会入賞の選手を擁する全国屈指の強豪県です。主将同士がぶつかる組み合わせにもなり、どの試合も熱戦となりました。林くんは、この決勝の舞台においても冷静なかるたを貫きました。試合を優位に進め、周りを鼓舞します。気迫あふれるプレーで会場中の注目を集めるシーンもありましたが、途中一度も崩れることなく10枚差の束勝ちとなり、東京都にとって貴重な一勝をあげてくれました。

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決勝の結果は4-1。これで東京都チームの2年ぶりの全国優勝が決まりました。林くんは出場した全ての試合で勝ちを収め、チームの優勝に大きく貢献してくれました。

最後に、指導の先生から「とても大きなことをなし遂げた。普通の高校生にはできない、この貴重な経験は必ず力になる。」というお話をいただき、解散となりました。

 

この一年間、海城の主将としてチームを引っ張ってくれた林くん。技術面ではもちろん、精神面でもチームの支えとして活躍してくれました。今回、他校との合同チームでしたが、その中でも彼の持っているリーダーシップやかるたに対する誠実さがうかがえる場面は幾度もありました。また、高いレベルの選手たちに囲まれながら全国の舞台を戦い抜いたという経験は、彼にとっても貴重な財産となることでしょう。他の高三生から少し遅れての引退となりましたが、林くんの今後の活躍からも目が離せません。そして、競技かるた部の後輩たちは林先輩に続いてますますの活躍をしていってほしいと思います。

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