2021数学科リレー講座【1・2日目】

2021.08.25

  • KSプロジェクト
  • 数学科

連立方程式をシステマティックに解くために利用されることをはじめ、種々の分野へ応用される『行列』は19世紀に、シルベスターやケイリーによって発見されました。この分野でのケイリー-ハミルトンの定理は大変に有名です。ここに名前を冠されたケイリーは、今年生誕200年にあたります。それを記念して、本校毎夏恒例の『数学科リレー講座』は、『ケイリー生誕200年記念』と題して、『行列』をテーマとして開催します。

【1日目】
初日は、最初にケイリーの伝記を紹介した後、行列式と行列の演算の計算練習をしました。殊に積の練習を重点的に行い、その効用の一例をグラフ理論に絡めて解説しました。授業後も多くの熱心な受講者たちが自主的に勉強していました。
以下、生徒の感想です。
・「行列」というまったく知らないことを分かりやすく説明してくださったのでとても授業を楽しく聞けた。(中1)
・行列で掛け算をして目的地への行き方が何通りあるか求めることが楽しく、興味深かった。(中1)
・いろいろなことに応用できそうなので、今後使えるところがあったら使いたいです。(中1)
・行列を定式化したケーリーがどのような人物だったのか、行列と行列式の違いは何なのか、そして、行列の和・差・実数倍の計算、行列式の計算の仕方がよくわかった。また、行列で道順の組み合わせなどを簡単に求めることができることに驚いた。(中2)

【2日目】
2日目は,行列の積とケーリー・ハミルトンの定理を取り上げました。初日に学んだ積の計算法を一般的な式で定義し,結合法則と分配法則は成り立つが交換法則が成り立たないこと,行列には零因子が存在することといった,実数の計算とは異なる行列の特徴的な例を示していきました。後半は,ケーリー・ハミルトンの定理を用いて,2次正方行列の累乗を求める例題を何問か解きました。定理による変形を繰り返し練習し,ある種の行列ではn乗計算もしました。3日目以降でも繰り返し用いる積の計算は,この2日間で十分身につきました。明日のテーマは連立方程式です。
以下、生徒の感想です。
・最初冊子を見たとき、とても難しそうだなと思ったが、先生が分かりやすく解説してくれたため、理解することが出来て良かった。(中1)
・最初の方は知識のことが多く、「へぇー」ぐらいだったけど、最後の方はA^nなど簡単に求めることができることがおもしろかったです。(中1)
・個人的にはいくつか演習するより、今までの定義や定理をしっかり目に見える形でチェックできる方が好きなのでそういう問題があると助かります。でも行列という新しい世界に触れることができ、一から定義・定義を積み上げるということは新しく楽しかったです。(中1)