• 第20回高校生・高専生 科学技術チャレンジ(JSEC)で審査委員奨励賞

第20回高校生・高専生 科学技術チャレンジ(JSEC)で審査委員奨励賞

2023.01.18

  • 2017年度入学
  • 2018年度入学

勝山翔紀君(高3)と下河邊太智君(高2)の2名が、それぞれ「第20回高校生・高専生 科学技術チャレンジ」(通称JSEC)に応募し、ともに優秀な成果を収めました。

勝山君の研究テーマは、「Deep Waka Transformerを用いた和歌言語モデルによる和歌自動生成~人工知能に和歌は理解できるのか~」というもので、日本全国から参加した345団体の中でファイナリストの30団体に選ばれ、さらにその最終審査会において「審査委員奨励賞」を受賞しました。これは345団体の中で上位17位に相当するものです。勝山君は物理部に所属していますが、全くの独学で文献にあたりながら研究を進めていったということです。このようなハイレベルな研究を一人で積み重ねていった努力に敬意を表します(このページ下部に勝山君のコメントを掲載しています)。

地学部に所属する下河邊君の研究テーマは、「数値モデルを用いた湧水を取り巻く地下水の実態把握 ~新宿区立おとめ山公園周辺地域を例として~」というものです。こちらは「敢闘賞」を受賞しました。この賞は、一次審査会議で大変高く評価された研究作品のうち、惜しくも最終審査会に進出する優秀賞には入らなかったものの、「優秀賞に大差のない内容である」と、審査会議において認められた作品に贈られる賞です。研究の更なる発展と来年度のチャレンジにも期待しています。

JSECの公式ホームページ:JSEC2022(第20回 高校生・高専生科学技術チャレンジ) (asahi.com)

写真左が勝山君、右が下河邊君

 

審査委員奨励賞を受賞した勝山翔紀君のコメント

今回はこのような賞をいただきとても光栄に思います。

この研究ではDeepWakaという和歌を生成・分析することができる機械学習モデルを開発しました。

アート作品を生成することができる機械学習が開発されたのを見て、

自分も似たようなことがやりたい、他のアートへの拡張はできるのかという疑問を持つようになりました。

そこで、古典の授業で面白いと思っていた和歌を生成できる機械学習モデルを開発する研究を始めました。

結果は自分が想定していたよりもはるかに良く、様々な技巧を使った良い和歌も生成できることがわかりました。

一つ例を挙げると

はるかすみ たちかへりぬる なみたこそ おほえのきしに とほさかりぬれ

(春霞が立っている。波が打ち寄せては返るように、何度も涙を流してしまったことだ。
その涙は大江の岸から遠ざかってしまったからこその涙だ。)

この和歌には歌枕・掛詞などの高度な技巧や係り結びなどの高度な文法を用いることができています。

DeepWakaは生成だけでなく、歌人との共同制作・消失文字の復元・和歌文化の保存など様々な用途にも活用可能なので、

今後はその可能性を探っていきたいと考えています。

最後に授業で習った和歌の好きな表現を紹介します。(古今集の仮名序)

力をも入れずして天地を動かし、目に見えぬ鬼神をもあはれと思はせ、男女の仲をも和らげ、猛き武士の心をも慰むるは、歌なり。」

この研究では様々な方のサポートがあって行うことができました。

この場を借りて感謝申し上げます。