地学科 富士山巡検

2025.11.04

理科・地学では、雄大な自然の姿に直接触れて感じることを目的に、例年、希望者対象の野外巡検を行っており、

今年度は、10月23日に、中学1年生33名、中学2年生6名、高校1年生4名の計43名が参加する富士山巡検を行いました。

日本史の教員も引率し、地学的な視点のみならず、歴史的な視点からも富士山を考えたり、感じたりしながら周辺をまわりました。

幸い、天候に恵まれ、以下のような「晴天時プラン」で回ることができました。教室では得難い経験とすることができたことと思います。

参加生徒の感想とともに巡検の様子をご紹介します。

道中の車内で富士山が見えると歓声があがりました

・ 富士山巡検に行った日は晴れていて、ちょうど初冠雪を観測した翌日だったので、富士山がとても綺麗に見えており、運がいいと思った。バスの中での説明や、富士本宮浅間大社の見学では、祀られている木花之佐久夜毘売命の伝説、富士山の成り立ちや地学的構造について知ることができた。特に、富士山が噴火した時に、マグマが三島の方まで流れたという話は興味深かった。その話を聞き、もし再び富士山が噴火すると、その被害は富士山の周辺だけでなく、広い範囲に及び、交通網などに甚大な被害を及ぼすと思った。

・ バスの車内で〇〇先生がしてくださった天皇が亡くなることの理由づけの話や富士山の歴史にまつわる話に、△△先生の富士山の周りの地層に関する話はとても興味深く退屈な時間のある車内が充実した時間になりました。

1.富士山本宮浅間大社 ― 富士山信仰・湧玉池の観察

・ 湧玉池ではまだ天気が曇りでしたが、神社の厳かな空気と合わさり雰囲気があってとても綺麗でした。

富士山本宮浅間大社から望む富士山

・ 浅間神社では富士山が世界文化遺産に登録された理由でもある「富士山への信仰」をひしひしと感じ木花之開耶姫の伝説と天皇家の関係には思わず声を出して驚きました。

浅間大社内に展示されている火山弾

・ 富士山本宮浅間大社で見た火山弾も面白かったです。宝永山噴火時に飛んできた溶岩が風の影響で方錐形になることを知りました。その隣にあった南極の石は、(現地出身の南極探査員が寄付したらしい)よくわからなかったが(?)一目見られてよかったです。

湧玉池

・ 浅間大社では、富士山の伏流水が湧き出す湧玉池を観察した。本によると、富士山に降った雪や雨が多孔質のスコリア層や火山灰層を数十年かけて地下を通り抜け、湧出しているそうだ。実際に手を入れるとかなり冷たく、透き通った水だった。

2.白糸の滝 ― 溶岩層からの湧水を観察、昼食

・ 白糸の滝は、僕が特に行ってみたかった場所です。その幅は150mなので、華厳の滝など、今まで見てきた滝の中で、最も神秘的だったような気がします。分かりにくくはありましたが、地層の境界から水が湧いていたことは確認できました。中学受験知識に過ぎなかった、「泥の層は水を通しにくい」ということを、初めて目で確認できました。

・ 白糸の滝では、イメージとの違いに驚かされました。名前から一本の白い滝を想像していましたが、実際には複数の滝が糸のように流れ落ちていて、とても美しい景色でした。

白糸の滝の前で記念撮影。

・白糸の滝のところではサンドイッチを食べながら滝を眺めるのが最高でした。今回、行く前は部活動と重なり少し行きたくない気持ちがあったのですが言った後は100%行って良かったと思いました。

3.富士宮口五合目駐車場 → 宝永第一火口縁往復 ― 火口壁・スコリア堆積物の観察

・私はこれまで、富士山といえば「頂上付近に雪が積もっている美しい山」という程度の単純なイメージしか持っていなかった。しかし、実際に自分の目で観察してみると、頂上付近でありながら赤みを帯びた岩肌が見られたり、岩脈が複雑に走っていたりと、教科書だけではわからない発見が多く、非常に興味深く感じた。

標高2400mの地点から歩き始めます。

・ 気圧が驚くほど低く、はじめは変な感覚がした上、すぐに息を切らしてしまいましたが、下山する時にはだいぶ慣れていました。高山の気圧などについても、これから地学の授業で習うようなので、ぜひ積極的に学んでいきたいです。

実際に歩いたのはとても短い距離でしたが、少し疲れました。

・今回の校外学習では、事前の説明会で学んだ火山の構造を実際に自分の目で確かめることができ、とても印象的だった。富士山が単なる観光地ではなく、長い地質活動の歴史をもつ複合火山であることを実感した。登山道沿いでは、溶岩の流れた跡や火山灰の層の違いを観察でき、それぞれの噴火時期や特徴を学ぶことができた。

宝永火口の火口壁について説明を受けています。

・特に印象に残ったのは富士山の宝永第一噴火口です。そこまで登るのは大変でしたが、引率の〇〇先生に背中を押してもらいながらなんとか登れました。まず驚いたのは噴火口の大きさです。こんな穴がつい300年前に出来たなんて信じられませんでした。他にもハッキリ富士山の地層を岩脈を貫いていたのが見えたのがスゴいと思いました。また、最近授業で習った箱根山や、伊豆半島も見えて良かったです。今回の巡検で大地の凄まじい力を実感することができました。今度は富士山の頂に登ってみたいです。これからも、野外の活動に積極的に参加して、探検し、知識を増やし、自分の庭のような場所を増やしていきたいです。

箱根火山や駿河湾なども見渡すことができました。

・ 今回の富士山周辺巡検で、私が最も感銘を受けたのは宝永火口付近の地面です。宝永火口をみた時は地球ではない火星などの場所にいると思ってしまうほど地面が赤く、感動しました。また、景色が広大すぎて、人が自分の遠近感が狂ってしまったのではないかと思ったほど小さく見えたことに驚きました。自分が、写真や、映像などでよく見ている富士山の中に異世界のような場所があることに対してこの巡検に参加してよかった、富士山に登ってよかったという気持ちになりました。

・今回は五号目から歩いて行きましたが、富士山とは思えない、まるで火星にあるかのように赤褐色の火口が印象的でした。また、富士山に登っている最中にたくさん玄武岩やスコリアなどが落ちていましたが、それが全て世界遺産の岩石と考えると岩石の見え方が変わってきました。

宝永山を背景に記念撮影。

・ 六合目で見た景色は言葉で表せないほど綺麗で日本にもこんなところがあるのかと感動しました。宝永山についてはバスの中でも詳しく学んでいたので地学的な視点からしっかりみることができました。実際に登ったことで富士山の高さや今の状態になるまでの歴史がものすごいことだと感じられました。

こちらは山頂方向をバックにして。

4.富士山御胎内清宏園 ― 溶岩洞穴・溶岩樹型の見学

・ 今回の富士山周辺巡見で一番印象に残っている場所は、御胎内清宏園です。今までに、石垣島鍾乳洞の洞窟には入ったことがありましたが、当時小さかったこともあり、どうやってできたのかわからず、自然の創造物にただ驚くのみでした。今回御胎内清宏園を訪れて、洞窟にまで富士山の噴火が影響を与えていると知って驚きました。石垣島の洞窟とはでき方が違いますが、洞窟の生成のされ方がわかって面白かったです。石垣島の洞窟とは違って、鍾乳洞などもなく、助骨と呼ばれた、縦に何本もの線みたいなものがあり、これらがどうやってできたのか不思議に思いました。自分でも調べてみたいと思います。

・ 御胎内洞窟は、想像以上に狭く、途中には水たまりもあって本当に出口まで行けるのか不安になるほどでした。しかし、抜けたあとは、なぜか「もう一度入りたい」と思ってしまうような不思議な魅力がありました。

・ 入ってみると真っ暗で、少し壁が濡れており怖かったですが、小腸部や肋骨など、神秘的な形の石を見て、なぜこのような形の石ができたのだろうかと考えさせられました。洞窟から出た時は服は汚れてしまいましたが、清々しい気持ちになって、先生が言っていたように生まれ変わったきがしました。

・ 御胎内清宏園では人生初、溶岩チューブを通り、溶岩の気持ちを味わいました。自分の通った道を過去に溶岩が通ったと考えると、なんだか不思議な気持ちになりました。

・ 最後に行った洞窟では、とても狭くて水がたくさんあって大変だったですが、この洞窟の名前を聞いた時に驚きました。その名前が「富士山御胎内清宏園」だったのです!!言われてみて完全に納得しました。確かに、(この表現は適切かわかりませんが)子供が生まれてきそうだな、子供が生まれてきてもおかしくないな、と思いました。洞窟の中には安産石があったり、何かの祠があったりと安産の神様が祀られてそうだなと改めて感じました。また、洞窟の形も細長くて体の中みたいだなとも思いました。このことから、この洞窟を名付けた人や初めて発見し、中に入った人、などの昔の人も、観光でその洞窟の中に入り、その思いを受け継ぐ今の人も、みんな想像力に溢れ、時代を問わず永遠に受け継いでいこうという意志が感じられ、一人でジーンときていました。

全体を通して

・ 5合目の高さは2500メートルで、気温は約4度。そんなふうに、ただ数字言われたよりも、体感の高さはずっと高く気温は低く感じられた。この巡検に行く前に先生が『知ることは感じることの半分も重要ではない』というレイチェル・カーソンの言葉を紹介してくれたが、まさにその通りだと思った。また感じることによって、知識の実際の形をイメージすることができ、より学びを深めることができた。

・ 今回の校外研修を通して、私は自分の視野がいかに狭かったのかを痛感するとともに、実際に現地に足を運んで学ぶことの大切さを改めて感じた。これからは、机の上だけの学びにとどまらず、さまざまな場所に出向いて多くの経験を積み、自分の知見をさらに広げていきたいと思う。

・ 今回の巡検を通して、学んだことは、これからも自然を守り続けていこうということです。富士山は、広大な自然に恵まれながらも、人々の憧れの的となっていたり、想像力を育んだりしてくれているとわかりました。昔の人々の歴史や植物、動物などの歴史や命を育んできたこの自然が失われることは、どれだけ大変なことを人間は犯しているのかがわかり、もう一度自然はどれだけ素晴らしいのか、どれだけ大切なものなのかを、再認識しなければならないと思いました。

・ 地学で学んだことを最大限に活かして、「感じる」ことができました。普段、自然と触れ合う機会などほとんどなかったが活動を通して見方や価値観が変わりました。教室ではわからない自然の素晴らしさや凄さを実際に感じることができ、とても貴重な体験になりました。

・ 私は、幼い頃から宇宙が好きだったため、別の惑星のような景色に出会えて本当によかったと思います。□□先生や、〇〇先生、☆☆先生がおっしゃっていた通り、写真や、映像ではわからない、富士山の素晴らしさや、美しさを身をもって体感できたと思います。そのような体験を広げていくことが自分の「庭」を広げることだと思いました。来年の巡検もぜひ参加したいと思います。次富士山に登る機会があったらぜひ登頂したいです。

・ この巡検では、富士山の地層が露出している所へ行って、自分の目で地層を観察することができたため、富士山の地層の構造がよくわかった。今後も、機会があれば、このような研修に参加し、自分の目で見て学びを深めたいと思う。

・ 今回の巡検を通して、富士山の自然や地形並びに富士山のみではない自然信仰への興味がさらに高まりました。実際に現地を訪れることで、教科書では得られない体験的な学びを得られたのでまた機会があったら参加したいと思いました。