• 高1 走出君 Springer AI&SOCIETYに論文が掲載されました!

高1 走出君 Springer AI&SOCIETYに論文が掲載されました!

2026.03.24

  • 2022年度入学
  • 数学科
  • 理科
  • 生物部

高校1年生の走出慧太君の論文がSpringer AI&SOCIETYに掲載されました。

高校生でこのような英語論文が掲載されるのは快挙です。

今後もさらなる研究活動に期待をしています。

 

論文情報

Sode, K. The interpreter’s trap: how explainable AI launders uncertainty into justification—a socio-legal case study of COMPAS risk assessment. AI & Soc (2026). https://doi.org/10.1007/s00146-026-02885-2

下記のリンクより全文閲覧できます。

SharedIt: https://rdcu.be/e2MXo

 

走出慧太君のコメント

この度、英国の学術誌『AI & Society』に、私の単著論文「The Interpreter’s Trap(解釈者の罠)」が掲載されましたので、概要を報告させていただきます。
近年、裁判や医療、金融といった重要な場面で、AI(アルゴリズム)が意思決定の「補助」として使われるようになりました。アメリカの裁判所で用いられている再犯リスク予測ツール「COMPAS」はその代表例です。しかし、こうしたシステムは企業秘密の壁や計算の複雑さによって中身が見えない「ブラックボックス」状態にあり、人の人生を左右する判断に使われることの危うさが指摘されてきました。
この不透明性への解決策として「説明可能AI(XAI)」への期待が高まっています。AIが自分の判断に「理由」を付けてくれるなら安心だという発想です。しかし私は、この流れに潜む落とし穴を指摘しました。それが本論文の核心である「解釈者の罠」です。
ここで言う「解釈者(Interpreter)」とは、AIの出力を判断材料の一つとして扱いながら、最終的には倫理的な意思決定を下す人間のことです。裁判官が典型ですが、より広い状況を捉えるために、この論文ではあえてこの新しい概念を導入しました。解釈者は「AIはあくまで参考」と理解していても、AIがもっともらしい「事後的な説明」を示してくると、計算に含まれる不確実性が見えにくくなります。すると、AIの判定に異議を唱える心理的・労力的ハードルが跳ね上がり、結果として思考停止や責任の所在の曖昧化が生じてしまうのです。
もともと私は、「説明可能だから安全」という風潮への違和感から研究を始めました。XAIを導入すれば済むという安易な姿勢に対し、後付けの説明で満足してはならないと伝えたかったのです。そこで辿り着いたのが、シンシア・ルディン氏らが提唱する「ガラス張りのモデル(Glass-Box)」——計算過程そのものが最初から透明で理解可能な設計を求めるべきだという結論でした。
論文の完成には、査読者の方々の献身的なご指導が不可欠でした。初稿に対しては厳しい指摘を数多くいただきましたが、査読者の方が推奨してくださった文献などを読み込み、議論を根本から練り直した結果、最終稿では「法分析と科学技術社会論の知見を対峙させた稀有な試み」であるという評価をいただけました。当初の厳しい指摘が、このような言葉に変わったことが、何よりの喜びです。本論文がジャーナルで掲載されるほどの水準に到達できたのは、査読者の方々のおかげと言っても過言ではありません。安易な「説明」に逃げず、真の透明性を追求すべきという主張が国際的に認められたことを、心から嬉しく思っています。
なお、本研究の遂行にあたっては、膨大な文献の翻訳やインデックス化、議論の深化といったプロセスにおいて、Gemini 2.5 ProやGPT 5などのLLMをふくむ多様なアルゴリズムに多大な助けを得ました。これらの技術が研究活動を力強くサポートしてくれたことは間違いありません。今後もこうした技術が健全に発展し、人々の知的探究を豊かにすることを願っています。