総合講座「現代社会とマスメディア」2

2010.02.16

 総合講座 中学1年・2年・3年対象「現代社会とマスメディア」2
 
 第2回目となる2月8日は,日本経済新聞社編集委員の木村彰さんに来ていただきました。社会部の記者として長年活躍され,医療担当分野の責任者を経て,現在は編集委員を務められています。
 今回は,様々なメディアがある中で,新聞が担っている役割を中心にお話いただきましたが,その中で特に印象的だったのは次のような部分でした。
 
 <生活の中にインターネットが浸透していく中で,新聞という紙媒体が,もしかしたらなくなる可能性はあるかもしれないが,それでもジャーナリスト(記者)が多様な現場を丹念に取材することで,事実をより多面的に伝え,その裏に隠れた背景をあぶり出す中で権力をチェックし,読者に考える材料を提供するという側面が,新聞にとってのかけがえのない要素なのではないか。そして,それを豊かに発展させることこそが,実はこれからの新聞が生き残る最も大切な道筋であり,私たち記者が鍛えていかなければならないポイントだろう>
 
 ペルー日本大使館公邸占拠事件や阪神淡路大震災での実際の取材経験をもとに,なんとか取材対象に近づき,その背景を含めて,現場で起きた出来事を多面的に読者に伝えようとする記者としての熱意が伝わってきたように思います。
 集中して聴いていた生徒たちは刺激を受けたようで,新聞の見方が変わるような貴重な経験になったのではないかと思います。
 
 生徒の感想から,一部を抜粋します。
 
 「新聞の『編集委員』という提供する側の意見を聞くことができ,新聞をつくる人の情 熱や新聞の未来への不安がひしひしと伝わってきた。」(中学1年生)
 
 「社会の事件の裏には必ず“人”がいて,その本質を探ろうとする記者の思いがわかっ た。(中略)やはり,新聞には圧倒的な信頼感があるので,それを生かし,一つ一つの 事件について深くほり下げ,鋭い背景分析をすることで,購読者(国民,主権者)に深 い考察を提供し続ける存在であってほしい。」(中学3年生)
 
 次回2月15日は,朝日新聞社記者(元論説委員・現シニアライター)の藤森研さんをお招きする予定です。
 
                         <総合講座担当>
 




(講義中の木村彰氏)

 



(使用したチャート)