• KSプロジェクト「総合フィールド演習」大森・品川周辺でのフィールドワーク

KSプロジェクト「総合フィールド演習」大森・品川周辺でのフィールドワーク

2017.06.06

  • KSプロジェクト

6月3日(土),KSプロジェクトの講座「総合フィールド演習」の目玉であるフィールドワークの初回を「大森・品川」周辺で行いました.4月からスタートし,これまで何度か放課後に集まり,問題意識を共有して,学校から日帰りで行ける範囲のフィールドワーク候補地を話し合ってきました.この講座では,教員が一方的に何かを与えるのではなく,生徒も教員も同じ目線で議論しながら,フィールドワーク先もその内容も一緒に考えて進めていくことが特徴です.つまり,決まったシラバスはありません.

今回は,これまでの話し合いで候補の一つになった「大森・品川」に出かけました.コースは大森貝塚と品川歴史館を必須とし,いくつかの候補地を挙げておきながら,あまりそれに縛られすぎないような街歩きにしました.教科書でもおなじみの大森貝塚ですが,きちんとその場所へ行ってみたのは,恥ずかしながら教員の私も初めてで,周囲の地形も含めて,その場所を体感することができました.また,品川歴史館では,貝塚の詳細な様子や土器も観察できたとともに,何より「品川」という町の歴史を知ることができました.その後,品川駅に向かって,東海道の旧道や寺社など,いくつかのポイントを見学しながら,宿場町や港町としての歴史を知ったり,昔,「品川」が海岸沿いだったことを地形から感じたりしました.道中,図らずも地域のお祭りに遭遇したり,海城の講師の先生にお会いしたり,地元の詳しいお年寄りの話が聞けたりと,出かける前にあった「品川」という町の印象が変わり,そして,もっと巡るべき所があることがわかりました.初回のフィールドワークとしては大成功だったと思います.ずっと歩きっぱなしで大変でしたが,次はこういうところも歩いてみたいという思いが残り,またフィールドに出てみようという契機になりそうです.

KSプロジェクトについて:https://www.kaijo.ed.jp/students/12915

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JR大森駅を降りてすぐにある池上通り沿いにある大森貝塚の碑.

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国指定史跡の大森貝塚.JRの線路の際ですが,池上通りから階段で段差を降りていく,崖のような地形です.写真を見るだけでなく,行ってみて体感することが大事だと改めて痛感しました.

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国指定史跡 大森貝塚遺跡庭園にあるレプリカ.どんな状況で貝塚が出土するのか参考になりました.品川歴史館ではもっと詳しく産状が見られ,動物の骨や土器片の混ざっている感じもわかりました.

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品川歴史館の見学.大森貝塚を実際に見て,解説展示を見学するのはとてもよい.さらに,品川が中世からの港町や宿場町として発展してきた様子もわかり,この後の街歩きにもとても役立ちました.

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天妙国寺の前で日本史の先生の話を聞く生徒.他にもいくつかの寺社を見学しました.単なる寺社巡りではなく,地域とその寺社の結びつきがわかると面白いですね.

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旧東海道を歩く生徒.地域の規模の大きなお祭りにも遭遇.予定外のことが街歩きの醍醐味でもあり,ターミナルとしての品川駅やオフィス街というイメージからは程遠い「品川」という地域に住む人々の強い結びつきを垣間見ることもできました.

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この坂の向こう側が旧東海道.手前の写真撮影している場所は海でした.昔の海岸線を知り,旧東海道から見えた景色を想像します.浮世絵などに描かれていることとも比較するとよくわかる地形です.

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利田神社.昔,クジラが品川浦に迷い込み,そのときに詠まれた歌碑がありました.こんなことからも港町「品川」が感じられます.ここでは,地元のご老人にも声をかけていただき,詳しい話が聴けました.これも醍醐味.お台場小学校が気象観測所の跡地に立地しており,その排水路を造成したところ,江戸幕府の台場に使われた石材が出土したとの来歴や船溜まりが残っていることなども,そのご老人のお話から伺え,いずれも実際に確認することができて有意義でした.